ロボット牛舎の重要ポイント:VICを理解するところからはじめよう
重要な時期を過ごすVICエリア
過去にもVICに関するブログはありますが、重要なので再度とりあげてシリーズ化しました。今回は3部構成で、まずは基本的な復習と直近の調査結果のご紹介です。VICは Very Important Cow(重要な牛)の略で、分娩間近~分娩直後の牛のことを指します。重要人物=VIPの牛バージョンです。滞りなく元気な子牛を産み、その後の泌乳を最大限にしてあげることが求められます。

VICに関する今回の調査内容
2024年の夏、4dBarnデザインサービスが設計に携わった牛舎のVICエリアを対象に、VICエリアのタイプ(敷料など)、得られた効果、改善点について調査しました。結果は2024年12月の4dBarnデイリー・ウェルフェア・セミナー(フィンランド開催)でも発表されました。
VICエリアのタイプ
調査対象となった農場のVICエリアはそれぞれ少しずつ異なるタイプのものでした。深いベッドのフリーバーンであったり、分娩後の牛用にストールを組み合わせていたり、中には場所や敷料不足によって途中から分娩後の牛だけストールに切り替えた事例もありました。分娩後のストールエリアの牛たちには専用のロボットがあてがわれました。
研究報告や経験則に基づく報告からも、VICへのサポート設備として分娩房だけでは不十分であることがわかっています。牛群の生産性を最大化する鍵がVICにあることを認識しているため、4dBarnでは全てのVICを丁重に扱うことに注力します。
調査からわかったこと
VICエリアは、初期から4dBarnデザイン牛舎の鍵の一つとしてきました。 現在では研究結果からも、牛舎の機能面でも牛の福祉面でも重要なものであることが示されています。VICの大切さは日常作業の視点からも明らかで、VICエリアを取り入れた生産者からは、絶対に手放せないという声もあがっていました。このエリアがあることで必要な作業が円滑になり、牛にとっても回復を早めたり動物福祉を満たす暮らしにつながっているようです。作業の円滑さについては、敷料の入替えがしやすい、必要な時に牛を移動させやすい、目が届きやすい、など、作業者にとって機動性と維持のしやすさを持たせることが大事です。今回の調査では、VICに係る作業時間は牛舎の日常作業時間のうち10%で、非常に労働効率がよいものとなっていました。
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・VICエリアの飼槽スペースは1頭当たりどれくらいがよい?
・VICエリアが最大限活かされる場面とは?
などの疑問にお答えします。
👉パート②ではVICの課題と実際の現場の声をとりあげます。

