ロボット牛舎の重要ポイント:VICを理解するところからはじめよう
シリーズ1つ目のブログでは、VICエリアの背景と2024夏のVIC調査について触れました。今回は、調査対象の農場でVICエリアが実際にどのように有効活用されているかをご紹介します。また、さらに改善できることがないかも見ていきましょう。
VICの牛たちには混雑も汚れも厳禁
VICエリアが有する機能性を保つには、1頭あたりに充分なスペースをとり、敷料も定期的に入れ替えましょう。どの牛も好きな時に横になり、そこからまた楽に立ち上がれるよう、フリーバーンはきちんと広さを計算しておき、ストールの場合は数の確保だけでなく大きさも牛に合ったものにする必要があります。牛の密度が高いとストレスになる上に、汚れの蓄積も早めてしまいます。そして汚れが多くなると、乳房炎のリスクが高まります。
敷料は決して軽視してよいものではなく、動物福祉の点で非常に重要です。牛床は清潔で乾燥状態を保ち、質の良い敷料を充分に使ってください。4dBarnの調査対象で良好な運用をしていた農場のフリーバーンでは、敷料の追加を毎日または数日おきに実施していました。VICエリアがストールの場合は、砂の追加と均す作業を数日おきに行っていました。
適切なVICエリアは作業量ではなく効率性で価値がわかる
調査対象の農場のVICエリアの機能性評価は、作りそのものだけでなく、牛舎の日常作業の中にどれだけ組めたかにも注視しました。VICエリアは牛舎の通路沿いに配置し、何かと通るついでに牛たちを観察できるようにします。今回は全ての農場がVICエリアに連スタを設置することを選択しており、処置が必要な際には迅速に、そして安全に対応できていました。
聞き取り調査では、VICエリアをつけたことで分娩後の牛の回復が早く、確実になったと複数の農場が回答しました。これは作業者の感覚的なものだけではなく、実際に分娩後3-5日間、体温や採食量を含む様々な項目をモニタリングした記録からも裏付けられました。さらに、初産牛にとってもメリットが生じていました。VICエリアという落ち着いた環境で経産牛と過ごした初産牛は、搾乳ロボットにも早く慣れるようです。個別管理が必要になったVICに対しても、以前とくらべて作業者は労働負荷をそこまで増やすことなく対応できるようになりました。
調査で得られた現場の声
ここで、VICエリアに対する実際の声を紹介します。
・VICエリアは牛にとってプラスの影響を与えたと感じる。
・VICエリアに満足している。乳量は最大10%増え、牛が健康でいる。
・特に初産牛が慣れる場として良いと思う。搾乳ロボットへの入り方を学習できている。
体系的なモニタリングで安定した運用を
調査対象の農場では、VICの牛のモニタリング体制が理にかなった実用的な方法でとられていました。VIC専用にロボットを分けた農場では、簡単にVICのみの情報を見ることができました。また、VICの記録用にホワイトボードなどの伝達事項をまとめたものもありました。特に分娩後は3-5日ほど体温記録がタスクとして組み込まれ、その他の情報も適宜見やすく共有されていました。
情報をわかりやすく見やすく可視化し、全スタッフが簡単に確認できるようにすることが徹底されており、労働負荷を増やすことなく牛のモニタリングを可能とする体制がとられていました。
👉パート③では、どのようなVICエリアの様式がよいのかについて簡単に解説します
🎬調査結果は2025年4dBarnデイリー・ウェルフェア・セミナーの録画からも御覧になれます(英語音声のみ、有料、購入後の視聴機関は60日)
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VICエリアを含む実用性の高いロボット牛舎をご提案します。

