ロボット牛舎を使いこなすためにできること

牛舎には牛舎ごとに「適した」働き方があります。このため、新しい牛舎ではそれまでの牛舎での習慣を見直し、続けるべきことと変えるべきことを見極めなくてはなりません。ロボット牛舎を少しでも検討し始めたら、事前の情報収集と自主学習を始めて、どんどん新しい知識を吸収しましょう。

ロボット牛舎での日常の作業は、一般的な牛舎と大きく異なる部分があります。例えばパーラー搾乳の牛舎であれば、一度にたくさんの牛を同時に扱います。それに対し、ロボット搾乳の牛舎では個々の牛への対応が中心になります。
パーラーやタイストールでは搾乳中に必ず人が牛のチェックをします。ロボット搾乳ではそのような対応はしません。このため、ロボット牛群の牛に対しては積極的に異常を探しに行く習慣をつけ、ロボットから得られるデータもフル活用しましょう。ロボット牛舎内では牛は自発的に移動し、自分のタイミングで採食し、水を飲み、搾乳ロボットに入ります。これと関連し、跛行の早期発見は作業者の重要な仕事です。ロボットのデータに異常が現れる頃には、跛行になってしばらく経っているかもしれません。跛行はロボット牛舎においてすぐに対処すべき大きな問題です。早期対処のための治療枠も設置しておきましょう。

ロボット牛舎の目的は、牛舎内で人の手をほとんど借りずに一連の流れが完結することです。

事前にしっかり計画され、作業目的に合った牛舎内配置と動線が確保されると、作業効率だけでなく牛の健康も維持されます。結果的に生産性が上がり、イレギュラー作業は減り、牛舎内を観察・チェックすることが主な仕事になっていきます。

分娩、乾乳、フェッチカウ(自分からロボットに行かない牛)の対応、日常的なタスクなどは、ロボット牛舎であっても人の手を必要とします。大筋の目的は、搾乳牛たちが人の手をなるべく借りずに「自立」することです。

 

Visiting dairy farm
 

ロボット牛舎の作業の流れ

牛舎での作業や目標を共有し合うことで、将来像がより明確になります。ロボット牛舎ではこれまでの働き方や考え方を刷新する必要が多々あり、何をどのように変える必要があるのかを理解しておきましょう。慣習的に行っていたことを継続することで、牛にも好ましくない習慣がついてしまうことがあります。例えば、これまでのように搾乳設備に向かって牛を追っていってしまうと、牛群全体が自発的にロボットに入ることを学習しなくなります。自発的にロボットに入らないフェッチ牛は、ロボット1台当たり最大でも3頭くらいに抑えるべきです。

How to schedule working shift in a robot barn in the evening


ロボット牛舎での作業経験がない場合、朝夕のタスクスケジュールを決めるのは容易ではないかもしれません。日次や週次のタスクを洗い出し、何時頃に誰が担当するのか、などをあらかじめ決めておくことは牛舎の配置図決定の重要事項です。参考として、ロボット牛舎のタスクと一連の作業の流れの動画をこちらからご覧ください。

Milking robot

 

事前の情報収集で自分に合ったロボット牛舎のイメージをかためておく

ロボット牛舎が初めてであれば、事前になるべく多くの他の牧場を視察し、どのような作業があってどのように対応しているのか情報収集を行ってください。

  • ロボットの位置や向きで牛の動きに影響が出そうか
  • 同時にロボットにアクセスできる牛群(牛のグループ)はいくついるか
  • ロボットから得られるデータのうち、日常的にチェックすべき項目は何か
  • ロボット牛舎に取り入れるべき設備は何か 

一口にロボット牛舎といっても、働き方や考え方で様々なものの配置が異なることがあります。実際にそこで働く方の意見は貴重な情報となるでしょう。作業を実際に目で見たり体験することで、より理解が深まるはずです。

視察を経てロボット牛舎の本質と必要な作業を理解したら、自分の目的に合った方法だけを拾い出して取り入れてみてください。繰り返しになりますが、牧場によって方針が異なるため、全く同じ作業の流れや方法を導入する必要はありません。ご自身の牧場の方法に適しているかの客観的な判断は、普段から相談しているアドバイザーや出入りしている獣医、ロボット牛舎の専門機関に聞くのがよいかもしれません。意見交換の場を設け、議論を重ねてしっかり検討してください。
他の牧場で過ごす時間があまりとれない場合は、インターネットでも各種教材が見つかるはずです。4dBarnでもロボット牛舎に関する教材を提供しており、中でもロボット牛舎の10のポイント でご紹介している設備については、牛舎の長期的な成功のためにも牛舎設計時には必ず取り入れてほしいと考えています。

 

ロボット牛舎のイメージづくりは早期から 

毎月の売上を支えるのは継続して安定した分娩です。口では簡単に言えますが、これを達成するためにロボット牛舎を建てる数年まえから綿密な計画をすることをお勧めします。

繁殖に関わる要素に注目してください。衛生管理は、ロボット牛舎でも乳質に大きな影響を与えます。ロボットに適した牛への改良は、ロボット牛舎がなくても着手できます。牛の大きさが均一になり、乳房の形質を適したものでそろえることで、同じストールの大きさに対して汚れる箇所が少なくなるため、牛も衛生的に過ごせて掃除も楽になります。
既存の牛舎で牛を慣れさせる準備もできます。ロボット牛舎ではPMRを給餌予定であれば、これを与え始めましょう。PMRの給餌は与える餌をあらかじめ混合させる方法で、個別給飼(餌の種類によって与える場所を変える)のとは異なります。経験をとおしてしか得られないこともあり、牧場の牛がロボット牛舎で採食するのに適した混合率については、栄養士や飼料会社にしっかり相談しておいてください。

 

しっかり計画しておくことで、自分を信じ、ロボットを信じ、牛たちを信じることにつながります。ロボット牛舎が稼働したら、牛には牛本来の過ごし方をさせてあげてください。良質な餌を十分に与え、衛生的で身体に優しい寝床を与え、優しく接してください。

文責 アンティ・プーリ、ビルピ・フオタリ

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