搾乳ロボット牛舎が広まってからおよそ25年、つまり四半世紀が経ちました。初期は、搾乳ロボット自体の信頼性が求められました。そこからは牛舎への配置の仕方について、様々な概念が確立されました。
成功事例も多い中、労働効率や生産性が期待していたほどにならなかった現場も残念ながら存在します。ロボット牛舎から元の搾乳様式に戻さざるを得ない牧場もあるほどです。
この主な原因は、特に初期の段階に多かったのが、搾乳ロボットは牛舎という機能体系の中で特定の役割しか果たさないということへの理解不足です。搾乳ロボットを手に入れれば自動的に全ての作業が円滑化するわけではありません。
ここで改めて、25年の間に得た、肝に銘じておくべき重要なことをまとめました。
1. 搾乳の自動化だけではカウコンフォートは解決しない
搾乳様式に関らず、ストールの適切な寸法や快適性、通路の広さ、換気の良さなど、基本的なことが満たされる必要があります。ストールでは十分な時間寝ることができ、飼槽へのアクセスも良い、など、非常に単純な条件もです。移行期を考慮した設備や配置もロボット搾乳牛舎では重要です。
2. レイアウトは動線の動力源
牛舎のレイアウトを考える際、ロボットの配置に注意していください。適切な場所というものが存在します。初期の牛舎ではロボット周辺に牛が滞留してしまうようなものもあり、ロボットに入る動線や出て行く動線を大きく損なってしまいます。こうなるとロボットへの訪問回数は減り、気が弱い牛は近寄ることも難しくなります。この結果、フェッチカウ(自発的にロボットへ入らず人の手で追う必要のある牛)が増加し、労働が増えます。
3. 搾乳だけでなく作業自体を見据えたデザインであるべき
搾乳ロボット牛舎での働き方は常にアップデートする必要があります。使い勝手の良い治療枠は初期の牛舎にはあまり見られません。蹄浴槽の配置についても考慮されていない場合があります。跛行した牛を速やかに治療できる作業動線を想定しておくことで、生産寿命、生産量、労働効率ともに改善できるのです。
旧式の搾乳ロボット牛舎でもできることはある
現代の搾乳ロボット牛舎に求められるような機能を十分に備えていない牛舎でも、改善できることはあります。新たに牛舎を建てずとも、一部を拡張して空間を確保することで、新築と同等とは言えなくとも、低コストで機能性のベースラインを近づけることは可能です。
牧場の状態と、ご自身の目標次第ですーーー改築を検討する価値がありそうかを考えるところが第一歩です。
その際、是非専門家の目でも評価してもらってください。改築経験豊富な視点から、既存牛舎の潜在的な価値を見出せるかもしれません。
