フリーバーンにおける牛の管理方法はいろいろあります。多くの場合、農場内のフリーバーンは、分娩房か病気の牛用の場所となっているようです。4dBarnでは、フリーバーンで移行期の牛を管理することについて、酪農家へのインタビューを通して調査を行いました。具体的には、フリーバーンはどのフェーズの牛群に対して用いられ、その牛たちをいつ別のグループに移動させるのか、などについてです。調査した農場は、フリーバーンの使い方によって3つに分けることができました。

フリーバーンの使い方による分け方

1.VICグループ(乾乳後期からフレッシュ牛)用として。分娩の1週間前にはフリーバーンへ移動します。乾乳後期グループ内で分娩後、親牛はすぐ隣のフレッシュ牛グループに移ります。農場の作業ルーティンによって差がありますが、1週間から1ヶ月ほどここで過ごしてからメインの搾乳グループへ移動していきます。

2.分娩房として分娩予定のおおよそ前日にフリーバーンへ移動します。分娩後、親牛は問題がなければ1日ほどで搾乳グループへ移動していきます。

3.乾乳牛用として乾乳期の全期間、または後半だけを、フリーバーンで過ごします。分娩場所は農場によって異なり、フリーバーンの中に分娩房を設けてあるか、乾乳グループ内で分娩をするか、乾乳後期牛を分けてそこで分娩をする、などの例がありました。親牛の搾乳グループへの移動は、フリーバーンを分娩房として用いている農場と同様に、分娩後まもなくでした。

     

    Dry cows in bedded pack

    フリーバーンの乾乳牛


    今回の調査において、フリーバーンにおける牛の管理方法に関する上記の戦略に順位をつけることはできないと判断しました。移行期の牛の管理用にフリーバーンを設けるにはストール管理よりも場所をとり、1頭当たり最低でも10-12㎡確保する必要があります。ただし、ストールに必要な備品がない分、フリーバーンの建設自体は簡単です。

    VICグループ用として

    私たち4dBarnは、VIC(Very Important cows;フレッシュ牛のこと)だけのグループをつくり、フリーバーンで管理することで、牛のストレスを減らせると考えています。乾燥して清潔な敷料は快適さを、足場のしっかりした寝床は乾乳後期から分娩後の期間に寝起きしやすい環境を提供できます。メインの搾乳グループに対して頭数を少なめにして管理することで、牛のストレスは軽減され、健康管理も容易になります。また、24時間いつでもロボットにアクセスできることで、未経産牛はロボットに自ら入ることを学習できますし、頭数の少ないグループの方がより早く学習できます。フリーバーンから毎日、牛をロボットまで誘導しなくて済むようになるので、これは労働時間の削減につながります。この方法をとることで、牛は、搾乳時間に誰かが迎えに来てくれるものだと思わなくなります。

    砂の敷料を使ったフリーバーンにいるフレッシュ牛

    砂の敷料を使ったフリーバーンにいるフレッシュ牛

     

    フリーバーンをフレッシュ牛の場所として確保しておくことで、分娩ラッシュがあった場合や移行期の牛が通常よりも増えてしまった場合に融通を利かせることができます。普段からフリーバーンで過ごさせる期間を長めにしておけば、フレッシュ牛が新たに増えてしまっても、すでにいる牛を少し早めに搾乳グループに戻すだけで済みます。

    フリーバーンを分娩房として用いる場合は、分娩ラッシュにも対応できるだけの広さを確保する必要があります。たいていの場合、親牛は分娩後すぐに搾乳グループに戻せますが、回復が遅い場合もありますよね。このような事態を想定し、分娩ラッシュを乗り切るためには分娩房の広さに余裕を持たせる必要があります。

     

    poikimakarsina
    分娩房

     

    アメリカ合衆国の例

    移行期の牛の管理に関して代々受け継がれてきたや慣習や管理方法は農場によって異なるため、別の方法が提唱されても、それが必ずしもその農場にとって最適なものだとは限りません。ウィスコンシン大学では、アメリカ合衆国における移行期の牛の管理方法について多様な知識や方法を提供するDairyland Initiativeをウェブ上で公開しています。農場設計の段階で活用できる計算式も提供しています。移行期の牛の管理への投資額は、生産乳量の増加と淘汰頭数の減少という形で必ず戻ってくると考えます。

    About author

    Emmi-Leena Viitanen

    理学士

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