「新しい農場では面倒なゲートは作りたくないんだよね」という要望を、新しいロボット搾乳牛舎を建設予定の酪農家さんからよくいただきます。この背景にあるのは、農場には入り組んだ構造をなるべくなくし、牛が柵やゲートなどの金属パイプに触れる回数を最小限にしたい、という考え方です。
フリーストールの広さを正しく設計することはとても重要です。当社は、牛がストール内で起立している時にパーテーションに触れることはなく、横になったときにも触れることがほぼないように設計します。言い換えると、このパーテーションによって牛の位置が自然に決定されるようにします。ストールの粗悪モデルや幅が十分に確保されない設計の場合、牛が絶えずパイプに触れるので金属表面が磨かれていきます。
牛は飼槽通路側のネックレールには触れることになります。これが首の部分に当たるので、飼料を絶えず牛側に寄せていないと、首を延ばす動作によってすぐに頚部にすり傷を作ってしまいます。こうなると、傷の痛みに対して食欲が勝らないと食べてくれなくなる、という研究結果もあります。連動スタンチョンでは牛の顔周りの金属は増えますが、同じように首を延ばして食べたときに身体にかかる負担は分散されます(それでも、すり傷を作るリスクはありますが)。ここで言いたいのは、飼料フェンスの種類よりも、食べられる位置に飼料が充分あるかどうかが重要だということです。
では、飼槽側以外の柵やゲートについて考えていきましょう。私たちは、ロボット牛舎の朝の作業中に酪農家さんの後ろについてまわって労働時間を計測し、ゲートが適切に設置されていないと余計な作業が発生することをつきとめました。パーラー牛舎では牛を群れごとに移動させることが多いのに対し、ロボット牛舎で人が移動させる機会が多くなるのは個別の牛です。ゲート設計が甘い農場内で牛を単体で誘導しようとすると、人員が余計に必要になることがあります。適切な位置にゲートやフェッチペンがないがために、人がロボットの手前でゲートの役目をする必要性が生じてしまっている農場もあります。
4dBarnのロボット牛舎設計に関する主な理念の1つは、一人の人間が牛1頭を簡単に安全に移動させられることです。一方で、ゲート設計がちゃんとしていると、(人が何もしなくても)牛が自主的にロボットへ移動してくれます。例えば、フレッシュ牛のVIC(Very Important Cow; 最も重要な牛)グループに対しては、24時間いつでも簡単にロボットにアクセスできるような一方通行のゲートを設けます。牛はゲートを通るということを自ら覚えますし、覚えさせることもできます。牛が進むことになる限られた幅の通路では、鋭角の曲がり角やナットが飛び出ているといったことは避けなければなりません。痛い思いをすると、次からそこを通るのを嫌がられてしまいます。ゲートを設置する際には、特に注意してくださいーーーたとえ1cmの突起であっても、間違った場所にあれば牛を嫌がらせるには充分です!
作業者には、肥料で汚れた通路に足を踏み入れることなく、きれいなままの長靴でロボット室にアクセスするターニング・ブリッジ(人が渡れる足場がついた特注ゲート)が必要になります。長靴の洗浄は思いのほか時間がかかる作業ですし、人の動線も円滑で簡便なものが理想的です。
ゲート設計は、一般的には面倒なものだととらえられがちですが、なんのことはなく、溶接された鉄パイプにすぎません。効率的なゲート設計となるよう投資すれば、生産性と労働効率面での見返りを充分に得られます。当社が提供するゲート設計は、各ゲートに役割を持たせていて、ロボット搾乳牛舎の日常的な作業に役立ちます。
ロボット牛舎のゲート設置例(6min, in Finnish!)