子牛を母牛から引き離すタイミングは、いつがよいでしょうか?分娩直後、分娩の翌日、あるいは離乳が近づいてから?この質問に対する答えは、回答者と同じ数だけありそうなくらい意見が分かれます。そして、「正解」はまだ見つかっていないのです。

ある酪農場では分娩直後に引き離し、別の酪農場ではかなり長い時間一緒に過ごさせます。消費者側の意見も聞かれていますが、母牛から早い時期に引き離されることは一般に認識されていなかったようです。消費者側の意見としては、早くに引き離すのは、よくないと感じるようです。

母牛と子牛が一緒に過ごす最適な期間に関する最新の情報については、Journal of Dairy Science誌に包括的な総評が2つ出ています。この2つの論文には、早期に引き離す場合とそうでない場合とで生じる影響について最新の知見がまとめられています。この話題について私たちがあまりにも知らないことが多かったことに気づき、困惑しました。引き離す時期が、牛の行動、ウェルフェア、成長や乳量に与える影響を検証した科学論文はいくつか出ています。ただ、研究デザインが統一されておらずばらばらなため、それらを比較することが難しく、正確な結論を導き出すことができていないのです。

 

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写真提供: Maria Pitkäranta

 

母牛と子牛の共同体は、非常に複雑な存在です。なるべくすぐ引き離すことを推奨する派もいれば、できるだけ長く一緒に過ごすことを推奨する派もいます。母牛と子牛を同時に研究するということは、生理学的に大きく異なる2頭の動物を検証するということです。分娩後数週間は母体そのものや乳量にとって重要な時期で、分娩後数か月は子牛の成長と発達に非常に重要な時期です。母牛と子牛のそれぞれが生理学的に大きな変化に連続的にさらされる期間において、双方が一緒にいることで生じる影響を評価するのは非常に難しいことです。

早期に引き離した方が、牛にとって急激なストレスが少ないように感じる酪農家が多いようです。一緒にいた期間が長いと、引き離した後の数日は子牛も母牛も鳴き声をあげ、ストレスを感じているように見えます。

しかしながら、一緒にいる期間が長い方が、子牛が社会性に長けて異常行動が少なくなるという報告もあります。さらに、授乳期間中の成長も良くなるようです。フリーストール農場では、牛群の中での社会性が必要になってきます。また、子牛への授乳期間が長い方が、母牛の乳房炎のリスクが減少することもわかりました。興味深いのは、子牛の免疫力や死亡率と、引き離す時期との関連性が見つかっていないことです。

1つだけ確かなことが言えますーー確実な答えがまだなく、もっと研究が必要だということです。この非常に重要な話題に対する明らかな答えがないまま、牛乳生産分野で働く私たちは日常的な作業を繰り返しているのです。子牛をどのように育てるかについて個人の見解を強く持つこともいいですが、他の可能性や、現場へどのように反映するかを考えることも必要だと思います。

4dBarnでは、乳牛のウェルフェアに関する最新の研究結果や議論を取り入れています。科学的な検証で新しい知見が得られれば、次はそれを現場で実行するのみです。そのためには、視野を広く持っていなくてはいけません。私たちもまだ、子牛を育てる最適な方法について学ぶことが多いのです!

参考文献:

Beaver et al 2019. Invited review: A systematic review of the effects of early separation on dairy cow and calf health. Journal of Dairy Science 102:5784-5910.

Meagher et al 2019. Invited review: A systematic review of the effects of prolonged cow-calf contact on behavior, welfare, and productivity. Journal of Dairy Science 102:5765-5783.

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Emmi-Leena Viitanen (理学士)、Virpi Kurkela(獣医師)

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